日本でもビデオで獣医師が動物の診療を行う遠隔診療のサービスを開始するスタートアップ企業や、24時間飼い主からの電話相談を獣医師が受けるサービスを提供する企業があります。
前者はかかりつけの獣医師と飼い主がビデオで相談を受けるタイプで、後者は飼い主が24時間待機されている獣医師に相談するタイプ(相談結果はかかりつけ獣医師にフィードバックされます)の2つに分けられます。
あと、もう一つ獣医師が専門医に遠隔で相談するタイプもあります。 米国でも3つのタイプがあり、その内、前者のタイプを「Vet to Client」、後者のタイプを「Owner to Vet」とすると図のように多くの企業があります(3つめのものはVet to Vetですね)。
日本では小動物において初診から遠隔診療は法的に認められていませんが、米国では3月下旬にCOVID-19のパンデミックの間でのみ、期間限定ですが遠隔診療の規制をFDAが緩和しました。
https://www.cnbc.com/2020/03/24/fda-allows-veterinarians-to-use-telemedicine-during-coronavirus-pandemic.html
その結果、米国では約3割の獣医師が遠隔診療を使ったというデータがあります。
https://ebusiness.avma.org/files/coronavirus/COVID-19-veterinary-survey-infographic.pdf
欧米ではメーカーやディーラーが、遠隔診療のシステム会社と提携するのが現在の流行で、今年2月にラスベガスで開催されたウェスタン獣医学会でも展示や発表がされていました。
・Boehringer Ingelheim社 PetPro Tele+の遠隔診療システムを獣医師に提供
・Elanco Animal Health社 VetNOW社のシステムを獣医師に提供
・Hill’s Pet Nutrition社 TeleVet社のシステムを獣医師に提供
・MWI社 Petriage社のシステムを獣医師に提供
・Covetrus社 TeleVet社のシステムを自社の動物病院経営管理ソフトに組み込み
現在でも実に多くの提携がなされており、まだ水面下のものもあると存じます。日本でも紹介されるものがあるかもしれません。
注:MWI社とCovetrus社は卸売企業で、日本ではまだビジネスを行っていません(2020年6月現在)。
Brakke Consulting, Inc.による調査報告書として、Companion Animal Veterinary Telehealth Landscape(2018年10月発刊)があります。ご興味がある方は弊社までお問い合わせ下さい。